紙選び
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- カテゴリー: Calligraphy, Calligraphy tool, Paper
過去に書いたかもしれないですが、もしくは、過去の動画でお話したかもしれませんが、今日ご質問いただいたので、改めて、紙選びについてまとめます。
書道用の半紙などの専用紙は、書道専門店で入手できます。
何年か前までは、実際に専門店さんに足を運んで、滲み具合を試し書きさせていただいて、購入していました。
最近では、ネットが主流になってきていて、オンラインで注文することが多くなりました。
購入前に、私は、たいてい、試し書きの用紙を送ってもらいます。
「書道 半紙 試し書き」などと検索サイトで検索しますと、ドーンと出てきます。お好きなお店のものをまずは少量パックで送ってもらってください。
実際にご自身がご使用になる、墨・墨汁の濃度を調整の上、筆でにじみ具体やカスレ具合、を実際に書いて確認します。種類によって、全く違うことが分かります。
好みの滲みやカスレが出る用紙を購入しましょう。
どのにじみやカスレが良くて、どれがが悪いということはありません。
その時その時で、自分が求めるにじみ方をしてくれる紙を選びます。
例えば、漢字の臨書用に半紙を購入したいときは、あんまりにじまないものを選びます。臨書は、線質がきっちり見える方が良いです。カスレた部分をよく見て、筆の一本一本の足跡が分かるくらい繊細に筆の動きを再現してくれる紙が良いと思います。だからと言って、ツルツルの滑りの良い紙が良いかと言いますとそうでもなくて、引っ掛かりのある摩擦のある紙の方が、線を鍛えると言いますか、紙に食い込ませると言いますか、筋トレのようなものと言いますか、ツルっと滑ってしまっては、的確な線が出せませんので、引っ掛かりのあるザラザラ感のあるものが、漢字用の紙として販売されていると思います。
仮名臨書の練習用でしたら、かな用のそんなに高価でないもの購入しています。高野切、継色紙など、専用の臨書紙が販売されているので、お清書には、そういった専門の用紙を利用します。実は専門紙にも、練習用とお清書用とありまして、お清書前の練習として、専用の臨書紙を利用しています。
水墨画は、私は専門ではないんですが、使う技法によって、滲む紙を使う場合もあれば、全くにじまない、水彩画と同じような表現を求める場合もあると思います。
誤解が出てしまうかもしれないので、ここで一つ補足です。
水彩画の紙は、繊維を経由して、色が広がってゆきませんね?紙の上に水たまりができて、それ以上、色は広がっていかないですね?その水たまりに色が交じり合って「滲む」ではないかとおっしゃる方がいらっしゃるんじゃないかと思うんです。それも「滲む」ではあるんですが、ここではそうではなく、書道用の紙の「滲む」は、紙の繊維を浸透していって、本来書いた線よりも太くなってしまう状態のことです。書いた場所を超えて、水たまりが広がって、広がって、繊維を浸透して広がってゆく滲み方です。
御自身が求める表現により、選ぶ紙の性質も異なってくると思いますので、面倒がらず、一度試し書きして、ご自身の求める紙を見つけるのが、ご自身の表現を最短距離で実現する近道だと思います。
ちなみに、各店舗で、似たようなお名前の紙を販売していますが、それらが、同一商品だとは限らないことを頭の片隅に置いておいてください。各店舗とも、おそらく、お客様を逃がさないために、独自につけた銘柄で販売しています。だから、A店舗で「朝日」を試しに書いてみて気に入って、B店舗の同じ銘柄がA店舗より安価だから、今度はB店舗から「朝日」を買ってみたりすると、全く別商品だったりします。
買ってからガッカリしないためにも、あらかじめお気を付けください。
そうは言いましても、こういった紙選びは、初心者の方には難しいと思います。最初は、「初心者」というキーワードで、漢字用なのか仮名用なのかでお買い求めいただくのが良いと思います。一番安心なのは、やはり、専門店に行って、お店の方に質問しながらお買い求めいただくのがおすすめです。プロの目利きの助言は、勉強になります。